家族って何だろう・・・
母に電話をしたのが、2016年9月8日(木)。
その日、1通のメールが届いた。
「22時頃電話ください」
その数分後に
「仕事から帰ったら電話ください」
普段から、あまり絵文字などを使う母ではなかったけど、
虫の知らせのように、嫌な予感がした。
仕事が終わり、ご飯の仕度をして、ちょっと落ち着いてから母に電話を入れる事に。
トゥルル~トゥルル~
何回目かのコールで電話に出た母。
電話に出た瞬間、何かあったなぁとすぐわかった。
私は瞬時に身構えて、努めて冷静に
「なにかあったの?」って、聞いた。
「お父さんが・・・胃ガンなの・・・」
胃ガン?
一瞬、頭が真っ白になったけど、どこか他人の話のような冷静な自分がいた。
母のすすり泣く声を聞いて、我にかえり
「お父さんの状況は?」と、やっとの思いで聞いた。
「来月手術をして、胃を1/3の取らなくちゃなの。大きな塊が出来ているらしいの。」
「それで?」
もっと突っ込んだ状況を知りたいのに、要領がつかめない。
「あとどれくらいなの?」
「他には幸い転移していないらしいの。先生は、悪性ではないような事言っているけど、手術をしてみない事にはわからないみたい。」
私は、それじゃもっとわからないよ!っと言いたくなった。
でも母が
「お父さんがかわいそう。今まで一生懸命働いてくれたのに・・・」と言って泣いている。
今さら何を言っている?
ついこの間まで、
「お父さんがいなくなったらせいせいする。お赤飯炊いてお祝いするわ。」
と言っていた母。
いざ、父が死ぬかも知れないと思うと、やっぱりそうなるよねぇと、至って冷静な私がいる。
我が家は、普通の家族のようでちょっと違う。
今さら家族が一つになる事はないだろう。
我が家は5人家族。
父、母、年が離れた兄が二人と私。
そう末っ子で、しかも待ち望んで産まれた女の子。
よく言われた。
「いいわね~Mちゃんは、年離れた女の子だから皆に可愛がられるでしょう。」
その当時は、
「全然可愛がってもらえませんけど・・・」と心の中でよく呟いていたなぁ。
小さい頃兄にはよくプロレス技をかけられたっけ。
今思うと、やりたい習い事はすべてやらせてくれて、なに不自由なく大きくなった。
これこそが大事に可愛がって育ててくれた証なんじゃないだろうか。
私立の中学校に高校。そして大学へ。
中学、高校は朝から晩まで部活に明け暮れ、365日ほとんど部活で家にいる事は少なかった。
自分の好きな事をやっていて、これから先の未来を疑う事なんて、何一つなかった。
そう、あの頃までは大きな苦労もなく生きていた。
私の未来は誰よりも輝いていくと思っていた。
いつ、道を間違えたんだろう。
でもきっと、道を間違えたからこそ、「家族」を大事に思えるようになったんだとも思う今日この頃。
19歳のあの日、私は大きな決断をする事になる。
この決断が私を責め続け、20年たった今も大きな後悔を背負うとは知らずに。